とうとう明日退院だ。 10時に出るので、リハビリは今日で最後となる。 最後のリハビリを頑張っり、自宅で出来る自主トレの仕方も教わった。
振り返ると色々あったなと思う、脳にメスを入れると言われた時は恐怖に慄き、半身麻痺の時は全く情けなかったけど、不思議と絶望は感じなかった。
必ず治ると信じるのではなく確信していた、そう思いたかったのかも知れない。 これが未だに半身麻痺が続いていれば、絶望の中に沈んでいただろう、そんな事を思いながら荷物もある程度まとめていると、会社から電話があり、今の状態を伝え、月曜の出社の事を聞いた。
いよいよ復職が近づいた。 まだ左腕が完全ではないが、軽い仕事から始めて行けるようだ。 配慮してくれた会社に感謝である。
夕方友人のSがやって来て、退院したら一度友人を集めて居酒屋でも行こうと話し合い帰って行った。
明日帰ったら、お見舞いのお返しを買ったり、出社の用意やら忙しくなりそうだ。 さて最後の夜をのんびり過ごそう。
10月19日金曜
いよいよ退院当日になった。 食堂へ最後の朝食を摂りに向かう、何時もの席に座り周りの人に別れを告げる。
病室へ戻り荷物の整理をしていると母が迎えに来た。 先生から退院後の説明を受け、火曜に県病院へ検査へ行くように言われ書類を受け取った。
同室の人、看護師、リハビリの先生に挨拶をして病院を後にした。 長いようで短く、自由は無いが快適な入院生活を振り返り、自由になった代償に、これからは何でも自分でやらなくてはならない厳しさを感じ、嬉しい様な名残惜しい様な不思議な気分に包まれた。
家に着き、早速スーパーへ買い物に出かける。 私は実家とはいえ離れに住んでいるので、家事は自分でやっているのだ。
夕食を摂り、洗濯をして風呂に入ると、すっかり夜になった。 病院ならベッドに入り、読書でもしている時間だが、何となく散歩に出かけた。
居酒屋の赤提灯が目に留まる。 駅前迄歩いて行き、百貨店に入り当てもなくウインドショピングをして家へ向かう、途中コンビニでチーズケーキを買い家に着くと、良くないと知りながらも、退院祝いにワインでも飲むかと、先程買った、チーズケーキと柿を摘みにワインを飲み始めた。
3ヶ月ぶりのワインは夏に常温保管してたせいか、劣化していて不味かった。 久しぶりのアルコールで酔いも回り、12時過ぎに布団に入り眠りについた。
酔って危ないかなと思ったが、以外と階段もふらつく事もなく、夜中のトイレも普通に出来た。
しかし翌朝二日酔いになり、まだ本調子ではない事を実感した。
今日のリハビリは超ハードだった。 まず1キロウォーキングした後400メートルのジョギング…おいおい、こんなメニュー入院患者にやらせるのかい。
でもそれをこなした私は、もう病人じゃないな。 ジョギング後ベンチで休んでいると、リハビリの先生が 「ここで、ジョギング出来るまで回復された方は数人ですよ」 と言われ復職に期待が膨らむ。 その後、手の運動と自転車こぎをして病室へ戻ると、医師の回診があり 「本当に19日で良いの、もう少し延ばした方が良いんじゃないの」 とか言われ 「いえいえ19日でも長い位ですよ」 と答えた。
こんな事言われると、他に何か悪いところでもあるのではないかと心配になる。 あと10日、復職に向けてしっかり仕上げて行きたい。
10/14日曜
昨日の土曜から、自宅へ最後の試験外泊に帰った。 もうすぐ退院なので、病院側もどうぞどうぞという感じだ。
しかし今回なかなか不便を感じた。 今までの外泊は、自分が病人だと分かっていたので、以外と何でも出来ると思ったが、今回はもう普通に戻ったと思って身の回りの事をすると、所々あれ? と思うところがあった。
物を掴んだり上げたりするとき上がらなかったり、右手も以前軽く持てた物が、物凄く重く感じたりと、不便をかんじた。 中でも困ったのは歩いていると必要以上に、がに股になってしまうのだ。
筋力が落ちてバランスをとるために開くのだろうか、意識して戻すと今度は手の振りがおかしくなる。 夜になり流石に病院程早くは眠れないので、なんとなく散歩に出た。
私の家は飲み屋街にあるので、赤提灯に誘われ危うく入りそうになる。 これは退院したら行きそうだ。 ウーロン茶に焼き鳥位なら良いかもしれない。
駅前の百貨店をふらふらさ迷い、特に買うものも無く、コンビニで立ち読みして家に帰る。 軽く一杯飲みたい所だが、おとなしく床についた。
翌日3ヶ月ぶりに洗車した。 やっぱり車が綺麗だと気持ち良い。 買い物に出掛け、果物をたらふく買って昼食を取る。
インターネットで色々調べものをしていると、また病院へ帰る時間が近づいて来た。 荷物をまとめると、母が疲れているから運転して、と言うので、横に母を乗せて自分で運転して病院へ戻った。
病院は丁度夕食の時間、私は明日の朝食から出るので、持って来た果物を食べる。
今日は朝昼晩と全て果物だけで過ごした。 好きな果物を思う存分食べられ、満足な1日だった。
10/17水曜
いよいよ退院が近づいた。 明後日の10時に退院だ。 しかし昨日の夜、看護師に採血があると言われた。
月曜に退院前の採血があったのだが、血小板の数値がおかしいので再検査になったのだ。
退院が延びないか心配になったが、それは無いと言われ一安心。 今日、医師の回診があったので、何が悪いのか聞くと、薬の副作用かもしれないので今日の結果次第で薬を変えると言われた。
血圧も一時、上が70台まで下がっていたのが、最近は100台まで戻って来たので、脳も落ち着いて来たのだろう。
今日のリハビリは、手も足も午後からなので午前中に自主トレをして病室へ帰ると腹が空いたので、いけないと思いつつおやつを食べてしまった。
いかんなー、しかし月曜の体重測定では、まだ57キロ台だったので筋肉で60キロ位には仕上げて行かないと仕事が辛い。
だから食後のトレーニングは欠かしていない、お陰で風呂に入った時、鏡を見ると腹筋が割れているのが見えて、トレーニングの効果を実感出来た。
もちろん最近は電気器具は使って無い、今は体を動かすトレーニングにしたのだ。
電気と違って体を動かした方が気持ち良いのだ。 病室へ戻り梨と柿を一個ずつ皮ごと食べた。
皮を剥くのか面倒なのと、皮ごとの方が栄養がありそうだからだ。
ちょっと苦いが美味い、退院したら、またたらふく果物を食べたい。 いよいよ明後日退院、最初は半身麻痺で一生車イスだと言われたが、何とかここまで治ってきた。 有難い事だと神に感謝。
復職出来そうだが、以前の様な仕事は出来ないだろうし、給料も下がるが使って貰えるだけ有難いと考えながらベッドに横になった。
今日もいつも通りの1日だった。 脳出血発症後は、兎に角、体が動く様になる事に一生懸命で、他の事まで気が回らなかったが、あれから2ヶ月経って、完全では無いにしろ、体が動く様になって来ると、段々入院生活が退屈になって来た。
よく母や友人達が、退屈だろうと言っていた事を思い出す、当時は全く退屈するような余裕も無かったのだ。
成る程、其れは健康な人の視点だったのだな、退屈になって来たのは私も治って来た証拠なのだろう。
退院は今月の20日と言われたが、もう少し短くして貰おうかと考えるが、しかしまだ左腕は完全では無く、もし今退院したら通院でリハビリに通わなくてはいけないのだろう。 でも多分私は通わなくなるだろう、保険も入院は出るが通院は出ないので、20日は案外良い時期がもしれない。
今日は昼も夜も電気器具は使わず、腹筋と両足上げ、スクワットをして鍛えた。 この方が良いし、また本格的な運動が出来て来たのだろう。
退院したら直ぐに仕事に復帰出来るように仕上げて行こうと思う。
10/5金曜
今日病院から、退院はいつが良いか聞かれた。 20日前後と言われていたのだが、もういい加減入院生活も飽々してきたので、もっと早くして欲しいと伝えたが、退院したらもうリハビリに来ないでしょうと言われ、返す言葉もなく頷くと、リハビリの先生がもう少しやった方が良いと言っていたから、もう少しやっていった方が良いですよっと言われ、19日土曜に退院する事にした。
まだ2週間もある…でも確かに左腕はまだ完全では無いし、退院したらもう来ないつもりなので、2週間は良い期間かも知れない。
早速会社に連絡して、22日の月曜に1度顔を出して今後の事を話し合う事にした。 あと2週間で仕事が出来る位に仕上げたいので、リハビリの無い日曜に病院にいても意味が無いのだ。
それで土曜のリハビリ後から日曜の夕方迄家に帰る事にした。 家での生活にも慣れなくてはならないし、家なら自由に散歩に出れるからリハビリになるのだ。
果たしてちゃんと復職出来るのだろうか、そんな事を考えながら眠りについた。
10/7日曜
土日と試験外泊をして来た。 土曜の夕方帰り、車でスーパーへ行き買い物を楽しんだ。 明日と病院で食べる果物と菓子を買って家に帰る。
久しぶりにパソコンを開けてネットを楽しむ、病院だと9時消灯だが家だといつも通り12時頃迄起きていた。 パソコンを閉じると結構な疲労感を頭に感じ、眠りについた。 翌朝目が覚めると、今までの事が全て夢落ちだったのではと思えたが、左腕の動きの鈍さを感じ現実に戻る。
朝は久しぶりに大好きなパインを食べた。 そして部屋の掃除をして散歩に出かける。 川沿いを歩き途中から遊歩道に入り2~3キロ歩くと急に疲労感を感じ、まだ病人だと気付かされる。
暫く近くのベンチで休み家に向かう、途中の神社で社会復帰を祈願した。 まだ午前10時頃だったので、これもまた、久しぶりにドライブに出掛けようと思い、車をオープンにして、お気に入りのドライブコースを走る。
風をいっぱい受けてとても気持ち良い、また病院へ戻るのが嘘のようだ。 30分位の軽いドライブだったが、入院しているのがバカらしくなってくる。
帰りに駅前に寄り100円ショップを覗き、トレーニング道具を探す。 左手も動く様になったので、ちゃんと力を使って筋力を付けた方が良いと思ったからだ。
そこで握力を付けるゴムポールと引っ張る力を付けるゴムチューブを買った。 その後地下のスーパーを覗くと筆柿が売っていたので思わず買ってしまった。
家に帰り昼食を取る、昨日買っておいた柿3個と今買った筆柿5個を平らげる。 柿の皮を剥くのも良いリハビリになる。
流石に8個も食べると腹いっぱいになり、部屋へ帰ると強い眠気に襲われた。 午前中病院では考えられない程よく動いたので疲れてしまったのだ。
3時頃目が覚めストレッチと軽い運動をしてネットを楽しんでいると、そろそろ病院へ帰る時間になり、母に病院へ送って貰う。
また堀の中へ戻される憂鬱な気分になる。 一刻も早く退院したいと願いながら1日が終わった。
台風も無事去り、いつも通りの朝を迎える。 朝食後電気器具トレーニングは、同じ部分は1日一回迄にして、まずは腹筋から鍛える。
トレーニング後ベッドでうとうとしていると、足のリハビリの先生が迎えに来た。 うとうとしてしまい、予定を見に行くのを忘れてしまったのだ。 外へ散歩にでるとますます秋らしくなっていた。 入院したのが8月2日の夏真っ盛りだったので季節も変わってしまったなと思い返す。
リハビリ室へ帰りトレーニングした後、すぐ手のリハビリの時間になった。 手のリハビリはしっかりやって貰い時計を見るともう昼食の時間になり食堂へ向かう、今日は栗ご飯だった。
病室へ戻り今度は左腕と右足に電気器具を使いトレーニング、本当は右腕を鍛えたかったが、まだ左手がうまく動かず器具を巻けなかったのだ。
午後3時頃先ほど手のリハビリの先生がリハビリの器具を使った左腕の運動を1日2回やって欲しいと指示されたので、それをやりに行った。
兎に角後は左腕だけなので社会復帰に向けて頑張りたい。 病室へ戻りおやつに柿と菓子を食べた、柿だけにした方が良いのだが、誘惑に負けたのだ…
間食したにも関わらず夕食はしっかり食べて、病室に戻り早速左腕と左足に電気器具を巻きトレーニングをした。 余りやり過ぎてもいけないので、少しずつ筋力を付けて行くつもりだ、これが終わったら今日も終わる。
10/2火曜
いつの間にか10月に入っていた。 倒れたのが8月の始だったから早いものだ。
今朝も窓から涼しい風が入って来る、朝夕は長袖がいるようだ。 朝食後電気器具で左腕と腹筋を鍛えた、するとまた腹に針で刺した様な痕が残っている、どう対処しようかと考えて、今までは2ヶ所同時に使っていたのを1番小さくてよく使う器具を1つだけ使おうと決めた、そうすれば時間は掛かるが痛かったら直ぐ弱めたりずらしたりして対処出来るからだ。
直ぐに風呂に呼ばれ出て、いけないと知りつつ菓子を食べた。 その後先生の回診があり、一言二言問診して出て行った。 その後手のリハビリへ、今日は午前と午後と2回ある。
手のリハビリが終わると昼を越していたので、急いで昼食を取りに食堂へ向かった。 席に座ると隣の人が居ない、席に貼ってある名札が無くなっていたので退院したと分かった。
そろそろ私も退院したくなって来た。 やはりちゃんと仕事して、休みに何処かドライブに行ったり、買い物したりして楽しむのが人として正しいのではないかと思う。
昼食後、左足の太股と脹ら脛と左肩を、少し器具で鍛え一休み。 そして本日2回目の手のリハビリへ向かう、段々細かい動きのリハビリになって来た。 倒れる前も細かい作業は苦手で大雑把な私にはなかなか出来ない、何とか終わるとすぐ足のリハビリの時間になる、今日も外に散歩に行き、自転車こぎで終了、足はかなり戻っている、後は退院して以前の様に活動計を付けて1万歩を目指して歩けば戻る、まあ最初はそんなに歩けないが、少しずつ距離を延ばして行けば良い。
リハビリ後病室へ戻り、昨日母が持って来てくれた巨峰を食べた。 これで果物は無くなってしまった。 また外出できた時に買って来たい。
夕食は鶏肉だったが、どうもあの脂身感が苦手だ、何とか食べ終わり病室に戻り今度は左肩と左腕と左の太股の付け根をいつもの半分の5分ずつ電気器具を使った。
痛くなったら弱めて使ったのであの針で刺した様な痕は出来なかった。 この位が丁度良いのだろう、左を使ったせいか手術痕がズキズキする、今日も早めに休むとしよう。
10/3水曜
そろそろ病状も、発症直後の様な劇的な変化も無くなって来て、この日記も毎日同じ様な繰り返しになって来たので、そろそろ何か有った時だけ書こうと思う。
今日は朝食後先生の回診があり、いよいよ退院の話しが出た。 私も外が恋しくなって来たので有り難い、先生は今月の20日辺りに退院だと言われた、長いな…まあ其までに仕事が出来る位に仕上げて行きたい。
昼食後病室へ戻り電気器具トレーニングをする、どうして針で刺した様な痕が残るのか考えたら、どうも電気か流れるパットにぬるジェルの量が少ないからだと考え、今度はジェルをたっぷり塗って試してみると刺すような痛みも痕も残らない、やはりジェルが少ないと、電気が流れる部分が小さくなり、一点に集中して痛く痕も残るのだろう、私の貧乏根性が原因だった様だ。
今日は週に1度の売店が来る日である、午後2時から開かれるので、皆さん待ちかねたように集まって行く、私は30分程経ってから行く、丁度人も少なくなり買いやすい。
ここは高齢の人が多いので、皆さんと私とは好みが違うらしく、私の欲しいものはいつも残っているから有り難い、ただ果物が売って無いのが難点だ。
買い物が済むと足のリハビリの時間になる、足はほぼ健康な人と同じなので、外を散歩して少しマッサージした後自転車こぎをして終了、そうするとおやつを食べる間もなく夕食となる。 以外と暇なようで忙しい。
夕食をちゃんと食べて病室へ、電気器具にたっぷりジェルを塗り左腕と肩に使うがなかなか左腕は太くならない。 今度外出したときちゃんと力を使う筋トレ器具を持ってこようと思う。
やっと退院が見えてきた、職場に戻れるのだろうかと考えながらベッドに横になる。
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