ごっつい猫一匹

現場に着くと、真っ黒に日焼けした、体格の良い50代のおじさんが、一輪車の脇に待っていた。

ごっつい猫一匹だ。

ごっつい猫は、絶えず掛け声を掛けながら運ぶ。
「そりゃー」  「ハアアァ゛ー」 「よいしょと」
掛け声と行動が、直結しているらしく、片方だけでは動けないようだ。

しかし生コンは、現場に着くまでに、水分がかなり蒸発して固くなる。
そのぶんを、見越して水を多めに入れる様だが、足りない事が多い。

気温、湿度、運転時間でリアルタイムで変わっていく。

炎天下の車のボディが、触れないほど熱くなっている事があるように、生コンのタンク部分も熱くなるのだ。
当然中の水分もどんどん蒸発していき、着いた頃には、かなり乾いてしまう。

JIS規格は、ただ闇雲に「水を入れるな」とうたうよりも、現場に着くまで、工場で作った品質を守るために、適切に水を加え、乾くのを防ぐべきではないだろうか。


頑張れよ、ごっつい猫さん。