ごっつい猫一匹

現場に着くと、真っ黒に日焼けした、体格の良い50代のおじさんが、一輪車の脇に待っていた。

ごっつい猫一匹だ。

ごっつい猫は、絶えず掛け声を掛けながら運ぶ。
「そりゃー」  「ハアアァ゛ー」 「よいしょと」
掛け声と行動が、直結しているらしく、片方だけでは動けないようだ。

しかし生コンは、現場に着くまでに、水分がかなり蒸発して固くなる。
そのぶんを、見越して水を多めに入れる様だが、足りない事が多い。

気温、湿度、運転時間でリアルタイムで変わっていく。

炎天下の車のボディが、触れないほど熱くなっている事があるように、生コンのタンク部分も熱くなるのだ。
当然中の水分もどんどん蒸発していき、着いた頃には、かなり乾いてしまう。

JIS規格は、ただ闇雲に「水を入れるな」とうたうよりも、現場に着くまで、工場で作った品質を守るために、適切に水を加え、乾くのを防ぐべきではないだろうか。


頑張れよ、ごっつい猫さん。

テンプレート

昼は暑くなったが、まだ夜は寒い。
夜の１０時過ぎに買い物に行ったが、半袖では寒く上着を羽織った。

オープンにはしなかったが、コペンの窓を全開にして、軽くドライブ。
やはり私は、少し肌寒い位が好きだ。

心境の変化で、テンプレートを変えてみた、今度のはシンプルにした。
結構良い感じだ、派手すぎず、いかにもブログという感じが良い。


仕事は、相変わらず暇である、ポツポツと注文が来る位。
なんとなく、ピザの配達に似ている。
注文が来たら、６０分以内に届けるところなど、そっくりだ、届けるのが、生コンだけど。

３日後には、２種電気工事士の筆記試験・・・とうとう来たな、ちょっとドキドキする。
取ったからといって、生コン屋には必要無いが、定年後、ビル管理に就職する為に取るだけだ。

落ちたら又挑戦出来るのだろうか？　
もう気力が湧かないかもしれない、だから最後のチャンスと思い頑張ろう。

ある運転手

当社には、今だに語り継がれる伝説の運転手が居た。

少し前に、飲酒運転で解雇されたＢＫさんだ。
困った人で、朝から酒臭い、それも毎日。

先輩が　「朝から飲んでたら駄目だ」　と注意しても　「飲まないと、怖くて運転できない」　と言うのだ。

仕事中に、こそこそ飲みながら運転していたらしい。

そして仕事中、高速道路の料金所でシートベルトで止められ、酒臭いのでそのまま拘束、免許取り消し、解雇・・・・・伝説の運転手だった。

その人の、生コンの止めてあった周りに、ワンカップやら発砲酒の空き缶が散乱していた、解雇の後、その空き瓶や空き缶を、片付けさせられたのは私であった・・・・・

今頃どうしているのだろう・・・・・まあ、どうでもいいが、飲酒運転は止めとけ・・・・・

しかし、出先の現場で、もしビールを出されたら　（ありえんが）　飲んでしまう運転手は、今も数人居ると思う、私は飲まないよ。

すっかり昼は、夏らしくなって来た、今日はバケツ取りの現場があった・・・・・３人でバケツリレーの様に運んで行く・・・・・生コン一車分・・・・・気が遠くなる現場だった。

仲夏

今は初夏だと思っていたが、初夏とは旧暦の4月の事だとか、今日は5月31日、旧暦の皐月なので仲夏になる。

私の勤める会社は、生コン屋である。　生コン屋としては中規模だ、そこには色々な運転手が勤めている、大会社に勤めていて、リストラされて流れ着いた人、中小企業を経営していた社長さん、元カメラマン・・・・・などなど。

その中で、この社長が面白い、人材派遣会社を経営していて、年商数億稼いでいたとか、でもこの不景気で縮小縮小、今でも細々と続けているが、会社は奥さんに任せて自分は生コンの運転手をやっているのだ。

仕事が終り、家に帰ると、すぐに酒を飲んで8時前には寝てしまうらしい・・・・・社長、早く寝すぎ・・・・・

しかし、まだ希望は持っているらしく、景気が良くなり、会社が上り調子になれば生コン屋を辞めて、社長に復帰する予定とか。

良いねー、現実味の有る夢があって、私はどうなのだろう、取り合えず資格を取るが、その後が見えない、資格を取ったからといって、放送大学に入ったからといって、それが何か役に立つのだろうか・・・・・分からない・が、今はやるしかないという使命感の様なものだけが私を動かしている。

生コンの運転手は決して嫌いな仕事ではない、それどころか結構気に入っている、また、この仕事だからこそ、資格の勉強が出来るし、放送大学も行けると思う。

もっとハードな仕事だったら、疲れてしまいとても勉強などやれないだろう。

考えても答えが出ないので、答えが見つかるまでは現状維持で頑張るしかない。


最近、酒の量が減ってきた、半年前までは週に2日、1回の量は缶酎ハイ6本を飲んでいた、もちろん勉強が終わった後にだが。
それが週に2～3日、1回缶酎ハイ3本に減った、更に1月前から週に2～3日、1回缶酎ハイ2本に減った、もちろんその他の日は酒は一滴も飲まない。

6本飲んでいる頃は、飲んでも飲んでも酔えなかった、それどころか３本過ぎるとどんどん醒めていった、それが最近２本で充分酔える。

弱くなったのか、健康管理が出来てきたのか、まあ今でも６本飲もうと思えば飲めるだろうが、もう飲もうという気がおきない、２本で十分、欲を言えば酒など飲まない方が良い、身体にも財布にも良いから、でもまだ止めれないだろうな。

さて、明日から又仕事、寝るとしますか。

忘れ去られた男

午前中2回出荷に出かけ、昼食になった。

多くの現場は12時～1時まで昼休みをとる、生コン屋はそれに合わせ、1時に着くよう出発する。
つまり、1時間かかる現場には12時に出発しなくてはならない。

だから私達は11時半頃から昼休みに入る。

その日も11時半頃昼食を食べ、12時過ぎると、続々と同僚達が出荷に出て行く、しかし私にお呼びがかからない………

兎に角待機する私………～～～  まてどくらせどお呼びはかからない。

そうこうしていると、同僚達が、続々と出荷から帰って来た。

次は私だろうと思っていると、帰って来た同僚にお呼びがかかる、そしてまた続々と出荷に出かけて行く…………「どういう事、自分には何か特別の仕事が待っているのかな？」などと勝手に解釈して待機。

時計を見るともう3時………「ひょっとして、忘れてる？」 そう思い事務所に顔を出すと、配車係が「あっ！」とか言って慌てている、そしてすぐ私の出荷となった。

「やっぱり、忘れられていたか」

「あのまま5時まで黙っていたら、仕事無しだったのかな、でも流石にそれはまずいよな」

などと考えながら現場に向かったのだった。